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2019年3月 大学等卒業予定者のための
就職情報キャンペーン


「社風と自分自身との相性を見極めて」と話す安藤さん=福井市上森田1丁目のオカモト鐵工

オカモト鐵工(福井)

安藤 啓介さん(28)

福井大2016卒

!安藤さんからのアドバイス

大学の就職支援室は力になってくれます。気軽に足を運び、助言をもらおう。私が言っても説得力はないけれど、できるだけ早い段階から、一つでも多くの会社を見て回ることが大事です。

社風との“相性”大切 遠回りも無駄じゃない

鉄骨建物や橋梁(きょうりょう)の設計・施工を手掛けるオカモト鐵工(福井市)。鉄工橋梁管理部に所属する入社2年目の安藤啓介さん(28)は、図面製作や資材の発注といったデスクワークに加え、現場での施工、指示などに忙しい日々だ。昨年夏は、JR福井駅周辺で進むえちぜん鉄道の高架化工事で防音壁の施工を任された。「福井市中心部にずっと残り続ける施設に関わることができて光栄」と充実した表情を見せる。

愛知県出身の安藤さんは福井大工学部建築建設工学科に進学。大学時代は、友人とのフットサルやマージャン、パチンコなど「遊びまくって」授業はサボりがちに。2年のとき、肺気胸で入院生活を余儀なくされる不運もあり、進学に必要な単位が足りず、卒業に8年を要した。

4年になってからも、就職か大学院進学か、就職するにしても地元に戻るか、福井にとどまるか、なかなか心が決まらず、ずるずると時が過ぎていった。まわりが着々と内定を得ていく中、11月ごろになって、ようやく就活に着手。Uターンを視野に中京圏のゼネコンなどの情報を集め始めたが「応募はほぼ締め切られていて門前払いだった」という。

卒業を目前に控えた4年の2月、福井大のキャリア支援室から紹介されたのがオカモト鐵工だった。大学で主に橋梁の非破壊検査について研究していたこともあり、会社の事業内容に興味を抱き、紹介されたその日に工場見学に訪れた。

何度も留年していることや年齢に関して、多少は引け目を感じていた部分もあったが、気にせず受け入れてくれる幹部社員の温かな雰囲気に好感を持ったという。ハワイやグアムなど海外へ慰安旅行に出掛けていることも知り、福利厚生面でも魅力を感じた。「働き続ける上で大切なのは社風との相性」と安藤さん。売り上げや社員数などの数字に惑わされず、会社を訪れ、社員と話し、直接感じ取ることが大切と話す。

書類や面接では、大学で学んだ橋に関する専門知識よりも、居酒屋でアルバイトに打ち込んだことの説明に時間を割き「年上の人、初対面の人でも関係なく、誰とでも気さくに話せる」とアピールした。「会社に入れば大学の知識を生かせることなんて限られている。いかに周囲の人の声に耳を傾け、吸収できるかが大事」と考えていたからだ。面接した田口裕三取締役総務部長は「留年を重ね、そのまま中退してしまう学生も多いと聞く。自分を奮い立たせて卒業までこぎ着けた気力は評価できると思った」と振り返る。

「人が多くてゴミゴミしている都会はあまり好きじゃない。その点、福井は居心地がいい。第2の古里でいつか『自分の橋』を手掛けたい」と夢を語る安藤さん。「遠回りしたけれど、どんな経験も無駄ではない。なかなか内定がもらえず焦ることもあるだろうけれど、諦めず最後まで頑張ってほしい」と就活生にエールを送ってくれた。(宇野和宏)

2018年3月26日 福井新聞本紙 掲載記事より

「『入り口』を広く、さまざまな会社に目を向けてほしい」と話す間所さん=福井市南四ツ居2丁目の福井キヤノン事務機

福井キヤノン事務機(福井)

間所 雅智さん(24)

仁愛大2015年卒

!間所さんからのアドバイス

ビジネスマナーや面接時の心得は学内のキャリア支援センターに、エントリーシートのありきたりではない文章の書き方はゼミの先生にアドバイスしてもらうというように〝使い分けて〟いました。

「入り口」を広くして 自分の感性、個性大事に

オフィスで使われる事務機器などの販売や保守点検を手掛ける福井キヤノン事務機(本社福井市南四ツ居2丁目)。営業マンとして販売を担当する間所雅智さん(24)は「お客さまから注文いただいたときはもちろんうれしいですが、お客さまの困りごとを解決する提案を行い、喜んでもらえたときに一番やりがいを感じます」と目を輝かせる。

鯖江高から仁愛大人間学部心理学科に進んだ。大学時代はダンス部に所属し、約80人の仲間とストリート系のダンスに熱中。学外のイベントにもたびたび出演し、学生だけでなく一般の社会人と交わる機会も多かった。「あいさつやイベントの段取りなど、しょっちゅう怒られましたが、年代の違う人たちにもまれて、コミュニケーション力は付いたかなと思います」

就活に着手したのは大学3年の12月ごろ。文系ということもあり職種は漠然と営業職を考えていた。業種については特に志望はなかった。合同企業説明会では、一つでも多くのブースに足を運び、話を聞くことを意識した。1回の説明会で7〜8社は回った。

「ネームバリューに目が行きがちですが、規模の大きな会社や世間で良い会社とされているところでも、自分の感性や個性と合うかは分かりません。『入り口』は広くして、たくさんの会社から話を聞いた方がいい」と話す。現在、営業マンとしてさまざまな企業に足を運ぶようになり「小さな会社でも素晴らしい業績を上げていたり、社内の雰囲気が抜群に良かったりする会社に出合い、就活でも中小零細企業にもっと目を向ければよかった」と思う。

最終的に3社を受験。面接では「自分らしく振る舞う」ことを心掛けた。「背伸びしても見透かされるし、内定を得てもその後が大変なので知らないことは『知りません』、できないことは『できません』と素直に話すようにした」。福井キヤノン事務機ではよく会話が進み、自分らしく働ける印象を受けた。男性従業員の子育て支援に力を入れるなど、福利厚生面の充実ぶりも魅力だった。

学生時代までは情報機器やIT分野に疎く、入社前は不安もあった。面接時や入社直後に「仕事で求められる専門的スキルは高く、学生レベルの知識では役に立たない。若いうちは、知識よりも、知識を入れる器となる『人間力』を大きくすることを考えてほしい」と言われたことを振り返り、「知識を吸収する素直さや学ぼうとする意欲こそが大事」と強調する。

間所さんには大きな失敗がある。入社直前の1月に開かれた全社員会議の出席をすっぽかしてしまったことだ。内定取り消しという最悪の事態も頭をよぎったが、会社から「若いうちは失敗が付きもの。臆せず活躍してほしい」と温かい言葉をかけてもらえた。「この会社を選んで本当によかったと思った。自分に合う会社はすぐには見つからないかもしれないけれど、諦めず探し続けてほしい」(宇野和宏)

2017年12月25日 福井新聞本紙 掲載記事より

「自然体の自分を受け入れてくれる会社を見つけよう」と話す横濱さん=福井市春山2丁目の米五

米五(福井)

横濱 友梨さん(24)

福井大2016年卒

!横濱さんからのアドバイス

日常会話では、何も考えず、思ったことをダラダラしゃべってしまう癖があるので、面接では「最初に結論、その後に理由」という話し方になるよう意識しました。

“ありのまま”で勝負 反省しすぎず前へ

江戸時代から続く、みそ製造販売の米五(福井市)。入社2年目の横濱友梨さん(24)は、主にネット通販の注文の受け付けや問い合わせの対応をしている。百貨店などで開かれる物産展や、普及活動の一環として開くみそ造り教室に出向くことも多く「県内外問わず、子どもからお年寄りまでいろんな年代の人にもっと米五のみそを身近に感じてもらいたい」と目を輝かせる。

勝山高から福井大教育地域科学部地域科学課程に進学。フランス芸術について学んだり、部活で吹奏楽に打ち込んだり、学生生活を謳歌(おうか)し、就活は部活引退後の3年生の1月に着手した。「人と会話し、人と関わる仕事に就きたい」という思いから、当初は食品や音楽、旅行、マスコミなど幅広い業種を視野に入れていた。

その中で特に関心を持っていたのが食品業界。大学1年の冬から福井市内で1人暮らしを始め、自炊のために料理教室に通ううち、食への興味が湧いてきた。「食生活は自分の健康に直結する。食を通じていろんな人の健康づくりに関われたら」と思うようになった。

横濱さんが就活で意識していたのは「ありのままの自分で勝負する」こと。ある企業のグループ面接で、隣の学生のしっかりとした志望動機を聞いて動揺し「自分を良く見せようと背伸びして崩れた」ことがあった。企業風土が本来の自分のカラーに合っていなかったからだと感じた。その後に企業説明会で訪れた米五は、社員同士の仲の良さや明るい職場の雰囲気が伝わり、自分らしさを失わず働けると思った。「自然体の自分を受け入れてくれる会社を見つけることが大切」と助言する。

横濱さんの就活を支えたのが一冊のノートだ。詳細な業界研究や履歴書の下書き、面接での反省点、大学の就職支援室で受けたアドバイスがびっしりと書き込まれている。「ドアを開けた瞬間、笑顔」「面接では話し出す前に一呼吸置いて文章を組み立てる」…。就活のマニュアル本などで紹介されている内容とも重なるが「自分の手で書くことに意味がある気がした。振り返りや反省がきっちりできた」という。

「会社に入ってからやりたいこと」を面接で聞かれることを想定し、ノートには各社への提言も記されている。米五のページには「大学とコラボし、学内の購買に即席みそ汁を置き、朝ご飯キャンペーンを展開する」「外国人向けに英語のホームページを充実させる」と書かれている。ノートを何度も見返し、面接では堂々と自分の“本気度”をアピールできた。

3年の夏に、三つの企業のインターンシップに参加したが「もっと参加しておけばよかった。会社の裏側も見ることができるので積極的に体験してほしい」と薦める。また、内定が得られなかったとき、立ち直るのに数日かかってしまった経験を踏まえ「会社の試験に落ちたからといって、社会的に自分が否定されたわけではない。反省はそこそこに、切り替えて前に進みましょう」(宇野和宏)

2017年10月30日 福井新聞本紙 掲載記事より

「自分の軸を決めて就活を進めて」と話す江尻さん=坂井市丸岡町熊堂の三谷コンピュータ

三谷コンピュータ(坂井)

江尻 裕美さん(24)

県立大2015年卒

!江尻さんからのアドバイス

月並みだけれど第一印象が決め手。面接ではニコニコ笑うことを心掛けよう。あと、海外に目を向けること。県内のある企業で海外の話題を振られ全く答えられなかったのが苦い思い出。新聞などで海外のニュースに目を通しておこう。

自分の「軸」定めよう OB訪問 面接で強みに

ソフトウエア開発などを手掛ける三谷コンピュータ(坂井市)で、プログラマーとして働く江尻裕美さん(24)。これまでに「ツキノワグマ出没情報収集配信システム」の構築や図書館のホームページ作成などに携わってきた。「毎回、新しいプログラミング言語を覚えるのが大変です」と話す表情は、生き生きとしている。

「自分なりの企業選びの基準。『軸』を決めることが大切」。就活などをテーマに7月に県立大永平寺キャンパスで開かれたトークイベントで、パネリストの1人として登壇し、後輩たちに呼びかけた。自身は▽出産しても仕事を続けられる▽できるならずっと福井県内で勤務できる▽土、日曜日はおおむね休める—などの「軸」を持って、就活に臨んだという。

福井商高商業科から県立大経済学部に進学。高校時代にコンピューター部で活動していたこともあり、ITや金融業界を志望していた。ただ、IT関係の会社には「社員はみんなバリバリと働き、残業が多いイメージ」を持ち、不安だったという。

大学3年の12月ごろに臨んだ企業説明会で三谷コンピュータのブースを訪ね、担当者から、毎週決められた曜日は定時に退社する「省タイム」制度を設けていることや、有給休暇の取得率が高いといった説明を受けた。「自分の軸に合うんじゃないかなって、ビビビっときた」

人事担当者以外の話も聞こうと三谷コンピュータで働く県立大卒業生を訪問。「肩肘張らず、楽しそうに仕事をされていて、ここで働きたいなって思えた」。プログラミングは高校の部活で「遊び程度」にやっていただけでスキルには自信がなかったが、文系出身者もたくさん働いていることを聞き、背中を押された。

面接ではOB訪問を踏まえ「対応してくださった先輩のように生き生きと自分らしく働きたい」と笑顔でアピール。15社程度受けたが、面接で、飾らずに「自分」を出せたのは1社だけだったという。江尻さんは「自分の肌に合う、合わないを感じるためにもOB訪問はしてほしい。企業説明会と違って『私しか聞いていない』社員さんの生の声を面接で話せるのも強みになる」と話す。

事前の面接練習では大学の就職支援室のスタッフを相手に練習を繰り返したが、厳しい指摘を受けることもあった。「就活は自信をもって臨むことが大事だと思う。人それぞれだろうけれど、友達や親ら自分が一番信頼できる人を相手に面接練習するのがいいのでは」と言う。

友達とは「他己分析」と題して、他人から見た自分の良さや強みを指摘してもらった。「内定をなかなかもらえないときは不安だったけれど、友達とのおしゃべりが支えになった」。初めての就活は分からないことだらけで、直接、企業に質問しづらいことも多い。孤独な闘いを乗り切るためにも、友人関係を大事にしてほしいとアドバイスを送ってくれた。(宇野和宏)

2017年8月28日 福井新聞本紙 掲載記事より

「資格取得を通して自信がついた」と話す西さん=敦賀市若葉町2丁目のジャクエツ

ジャクエツ(敦賀)

西宥美さん(25)

仁愛大2014年卒

!西さんからのアドバイス

私は福井県内の企業しか受けなかったけれど、県外の企業も挑戦すればよかったかな。「外」を見ることで、福井での働きやすさや福井の企業の良いところに気付けると思うから。いろいろな企業に目を向けよう。

応募書類作り 入念に 資格取得の努力を強調

クレヨン、すべり台、はさみ、のり…。幼児用教材や遊具を製造販売するジャクエツ(敦賀市)の商品は多岐にわたる。入社4年目の西宥美さん(25)は「子どもたちの成長につながる商品づくりに関わることができて幸せ」と言う。

保育文化営業課に所属し、幼稚園や保育園など顧客からの注文をメーカーに発注する業務や、昨年10月に開設された通販サイトの運営に携わっている。「お客さまの要望通りに商品ができあがってきたときや、通販の利用者から『商品、届きました。とてもかわいいですね』と、お褒めの言葉をいただいたときにやりがいを感じます」と笑顔を見せる。

敦賀市出身で敦賀高情報経理科を卒業後、仁愛大人間学部心理学科に進んだ。高校時代は、全国商業高等学校協会が主催する検定試験で簿記、そろばん、電卓など全8種目のうち7種目で1級に合格。大学では、パソコンのワードやエクセルの知識が問われるMOS資格を取得した。事務職として求められるスキルはもちろん「資格取得に向けた努力、合格したときに得られた達成感、自信も財産になった」

積極的に前に出られない性格だと自分自身を分析する。就活の合同企業面接会では「学生が多く並んでいる企業のブースだと『どうしよう』って不安になり、一歩引いてしまった」。ただ、なるべく多くの企業のブースをまわるよう心掛けていた。「『事務職求人』の看板を掲げていなくても、実際は採用している会社もあった。並んでいる学生が少ない企業だと担当者と1対1で突っ込んだ話もできた」。企業規模やブランドにとらわれず、さまざまな会社と接触するよう勧める。

自宅からの通いやすさを考えて敦賀市内の企業が第一志望だった。大学4年の夏ごろ、ジャクエツの会社見学会に参加。たまたま社内で目に留まったはさみが、自分が幼稚園の時から使っていたものだった。「持ちやすく、軽い力で切れる、機能性が考えられた商品に魅力を感じた。こんなすてきな商品を扱っている会社の一員になりたいと思った」

就職試験ではエントリーシートの作成を特に重視した。「面接でガツガツとアピールして、顔を覚えてもらえるようなタイプではないので、応募書類は完成度の高いものに仕上げたかった」。資格取得に向けた努力を前面にアピール。書き上げた後は、同世代の友人だけでなく、大学内の就職支援室の職員やゼミの教授、ハローワークの職員ら多くの人に見てもらった。「厳しい指摘を受けて、へこむことも多かったけれど、実際に仕事をしている人の視点で書くことが大事だと思った」から。

地道な努力の積み重ねで就活を成功に導いた西さん。「内定を得ることがゴールではない。その先の『働く』というところを見据えて動くことが大切」とアドバイスを送った。(宇野和宏)

2017年7月24日 福井新聞本紙 掲載記事より

「面接では、思いをストレートに伝えた方がいい」と話す松田さん=小浜市遠敷の日本電産テクノモータ福井技術開発センター

日本電産テクノモータ(小浜)

松田 政宏さん(23)

福井工大2016年卒

!松田さんからのアドバイス

履歴書には、楽器のベースを続けてきたことを挙げて「一つのことをやり続けられる」と書いた。長所は、背伸びせず、飾らず、本当に自信を持って言えることに絞って書こう。

飾らない思い伝えて 企業理念に“一目ぼれ”

総合モーターメーカーとして家電製品や自動車など向けのモーターを手掛ける日本電産グループ。連結売上高1兆円を超える大企業のグループ会社の一つ、日本電産テクノモータ(小浜市)に昨春就職した松田政宏さん(23)は空調開発1部に所属し、エアコンや空気清浄機のモーターに組み込まれる電気回路の開発に取り組んでいる。

大野高から福井工大電気電子情報工学科に進んだ。大学時代は勉強の傍ら、中学1年から続けてきたエレキベースに没頭し、友人とバンド活動を楽しむ日々。「電気回路に関する知識と趣味の音楽を生かせれば」。就職活動では当初、音楽関係のメーカー数社を受けたが、内定は得られなかった。

そんなときに大学のキャリアセンターや指導教官から紹介してもらったのが日本電産だった。全世界の電力消費量のうち、モーターを搭載した機器が消費する電力は全体の約5割を占める。「世界有数のモーターメーカーで効率の良いモーターを作ることが地球規模の電力不足解消や環境改善につながる。こんな企業が福井にあったんだ」。一気に興味が湧いた。

大学内で日本電産の企業説明会が開かれた際は、一通り説明が終わった後の休憩時間に担当者のもとへ駆け寄り、積極的に質問攻め。「自分も含めて理系の学生は就活で控えめで静かな人が多い。何でもいいから話して印象付けることが大事」と話す。

そして臨んだ面接。志望動機の説明では、モーター開発を通して、世界の省エネに貢献するという企業理念に共感したことを訴えた。しかし面接官から帰ってきたのは意外な言葉だった。「あまり面白くないね」。何度も大学内で繰り返してきた面接シミュレーションのシナリオが崩され「パニクった」。

「とにかく何かしゃべらなければと言い直したときは、表現も拙かったし、敬語も上手に使えなかった。それでも用意してきたきれいな文章じゃなくて、心の底の本心を言おうと必死だった」。愚直に、ストレートに訴えた思いは通じた。面接官は、受験者の本音を引き出そうと意地悪な質問をしたり、揺さぶりをかけたりしてくるが、動じずに自分の思いを言葉にすることが大切と感じた。受験した5社のうち3社で最終面接まで進み、会社の成長性や安定性を重視して日本電産に絞った。

福井工大は学科ごとに就職支援職員を置くなど、きめ細かいプログラムで学生を支援している。「履歴書の添削や面接練習にとことん付き合ってくれ、学生一人一人に丁寧に向き合ってくれる。本当に恵まれていた」と感謝を口にする。

一方で、合同企業説明会やインターンシップに積極的に参加できなかったことは反省材料だという。「悔いを残さないよう、自分から主体的に就活に臨んでほしい」と、後輩に向けてアドバイスを送った。(宇野和宏)

2017年6月26日 福井新聞本紙 掲載記事より

視野を広げ、いろいろな業界を見た方がいいと助言する後藤さん=福井市下河北町のエクスタイル

エクスタイル(福井)

後藤 貴哉さんさん(29)

福井大2013年卒

!後藤さんからのアドバイス

大学8年目でようやく動きだした自分が言っても説得力ないけれど、準備は一日でも早い方がいい。1〜2回生のうちから気軽に大学内の就職支援室に足を運ぼう。

視野広げ選択しよう 諦めなければ道は開ける

住宅の庭などに使われている樹脂製フェンスを製造販売しているエクスタイル(福井市)。営業部に所属する入社4年目の後藤貴哉さん(29)は東海地区を任され、造園業者などへの売り込みに奔走する日々だ。

企画から製造、営業、施工まで一貫して行うのが同社の特徴。商品の特徴や施工方法を知り尽くした、きめ細かい営業は大手企業に負けない強みだ。“飛び込み”で相手にされないこともあるが、商品について丁寧に説明し、発注につながったときが一番の喜びだという。

約40人の社員の平均年齢は33歳。朝礼はなく、営業会議も年数回。営業マンの売り上げノルマもないという自由な社風だ。「その分、自分で責任を持ち、考え、動かないといけない。成長させてもらえている」と感謝を口にする。

「ダメ学生の見本です」。三重県出身の後藤さんは福井大工学部物理工学科(現・応用物理学科)に進学。サッカー部の練習に打ち込み、夜は繁華街のバーでのアルバイトやバンド活動にのめり込み、次第に授業はサボりがちに。3年終了時に進学に必要な単位が足りず、結局、卒業に7年半を費やした。

ようやく就職活動を始めたのは、卒業半年前の4月。業界研究もインターンシップも全くしていなかった。「何となく大学に入り、就職も何とかなるだろうって、のほほんと考えていた」。右も左も分からず、頼ったのが大学の就職支援室(現キャリア支援室)だ。「『絶対に就職するぞ!』って熱い人ばかり。親身になって相談に乗ってくれ、ありがたかった。もっと早く来ればよかった」と振り返る。

機械や精密部品製造など研究職を中心に県内外の10社程度を受けたが内定を得られなかった。結局、卒業後も就活は続き、焦りが募りだした10月ごろ、大学の就職支援室から営業職を勧められた。「人見知りなので全く考えていなかった」というが、新しいことに挑戦するのは面白そうと腹を決めた。「理系の学生は専門分野から職種や業種を絞りがちだが、視野を広げ、多様な業界を見てみると意外と面白い。凝り固まらない方がいい」とアドバイスする。

エントリーシートには、大学のサッカー部で会計などを担う「主務」を務めた経験と、バンド活動で100人以上の観客を前に歌った度胸の良さを2本柱として盛り込んだが、支援室の職員に見せると「焦点がぼやけるので一つに絞った方がいい」。後藤さんは「自分だけの考えでなく、第三者の視点で評価してもらうことが大切」と実感を込める。

マイナスイメージしかなかった営業職だが、今では「全然知らない人と会って話すのが楽しい」と言えるまでになった。「かなり回り道したけれど良い縁に恵まれた。就活はつらいこともあるけれど諦めなければ道は開ける」。そう確信している。(宇野和宏)

2017年5月22日 福井新聞本紙 掲載記事より

「顔を覚えてもらうため目立たないとダメ」と話す唐崎さん=福井市日之出2丁目の井上商事

井上商事(福井)

唐崎帆加さん(23)

県立大2016年卒

!唐崎さんからのアドバイス

PRポイントはエントリーシートに全てを書かず、面接用に残しておく。面接官に「もう少し聞いてみたい、質問してみたい」と思わせよう。

説明会では目立って 志望の企業“追っかけ”

アルミ建材の製造販売を手掛ける井上商事(福井市)に2016年4月に入社した唐崎帆加( ほのか )さん(23)。特販営業部に所属し、主に静岡県内の設計事務所を回って、ビルなどに設置されるアルミ製の雨どいをセールスしている。

女性の営業職は建築業界では珍しく、同社内でも2人だけ。就職活動で建築関係メーカーの説明会に行くと「事務職なら採用するけれど…」といった反応も少なくなかったという。そうした中で希望を尊重してくれた今の会社を選んだ。「あれは、お母さんが売った建材で造ったビルだよと将来、自分の子どもに教えてあげたい」と目を輝かせる。

金津高から県立大経済学部に進んだ。大学時代、若者の視点で選挙啓発に取り組む「CEPT(セプト)」の代表を務め、ゆるキャラ人気投票や選挙カフェなどを企画、県内外で発信した。活動を通して、人と話したりPRしたりすることが好きになり、営業職を志した。

大学2年2月にはベトナムに進出している県内製造業の工場を視察する研修に参加、ものづくりへの関心が高まった。就活では、父親の仕事の関係で幼いころから興味があった建設関係のメーカーをターゲットに。ただ「いろいろな会社を見ないと営業や建設の仕事が自分に合っているか分からない」と、他の業種のインターンシップや説明会にも積極的に参加した。

志望する企業が大阪や金沢の合同説明会に出展する際は“追っかけ”。開場と同時にその企業のブースを訪れ、説明会の終了直前にも再び足を運び質問するよう心掛けた。「周りと同じことをしていても顔を覚えてもらえない。常識の範囲内で目立たないと」

井上商事に就職の意思が固まった大学4年6月ごろ「自分に営業ができるだろうか」と不安がよぎった。東京の支店で働く社内唯一の女性営業社員を訪ね、社内の雰囲気や現場の実情を聞いた。「説明会では人事の人の表面的な話しか聞けない。就活はゴールじゃない。その先、何十年も勤める会社だから、目指す職種以外の人にも会った方がいい」と助言する。

大学入学時から、就職に向け「いかに経験を積むか」を意識していた。高校では卓球部主将を務めていたが、引っ張る立場でなくサポートする側にも立ちたいと、大学ではソフトボール部のマネジャーを務めた。「あれをしておけばよかったという後悔はしたくなかった」。違う年代の人と関わろうと県立病院で本の貸し出しボランティアにも加わった。自身を成長させる貪欲な努力の積み重ねが営業にも生きている。(宇野和宏)

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人生の大きな岐路、就活。「先輩直伝」は、県内企業に勤める若手社員に、内定までの道のりや就活のノウハウを聞きます。

2017年4月24日 福井新聞本紙 掲載記事より

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